欧米式子育てを美化する欧米在住者の語るうそ

海外子育ての記事を検索をしていると、いかに欧米が子育てをしやすく素晴らしいかなんて内容をよく目にする。アメリカ在住10年目にして米国を知れば知るほど欧米の子育て環境が日本より恵まれているということはありえないと断言したい。


うそ1.アメリカ人は子供に優しい。

米国では金(ビジネス)がチラつけば対応もよくなることが多い。だからサービスを提供する人たちは、子供に優しくしてくれる可能性が高い。

フレンドリー=よいサービス 

という文化があるからだ。

ただスーパーで子供が癇癪を起したら、露骨に嫌な顔をしたり文句を陰でぼそっといったりするやつらもいる。

アメリカ人のティックトックを見てほしい。癇癪を起した子供とその親を撮影して、否定して笑いものにする動画が死ぬほど出てくる。

日本と同様、子育てに理解がある人もいれば嫌悪感を示す人たちもたくさんいるのである。

米国は感情をオープンに出す文化なので通りがかりにかわいい子供をみれば正直にかわいいねっと声をかける人も少なくない。

日本ではかわいいと思っていても礼儀を重んじる文化なので心の中で思っていても声にはださない。

結論としては日本にも優しい人はたくさんいるのである。


うそ2.アメリカの子育て論は最先端

アメリカ人子育てスタイルは戦後からつい最近まで抱っこひもなんて使わずにベビーカーで移動し、一人部屋で赤ちゃんの頃から寝かせ人工乳を飲ませる方がよいと言われてきた。そして子供の親は子供が寝た後、自分たちの時間を楽しむなんというアメリカンファンタジーまで蔓延している。

しかし私が米国で出産した2014年時点でそういったアメリカンスタイルの子育て方法がすっかり衰退し、欧米の専門家たちが子供をたくさん抱っこして母乳を与え、一緒の部屋に赤ちゃんのベッドをおくのが理想だと提唱しだしたのだ。

教養のあるアメリカ人が抱っこひもを愛用し、母乳を与えることに情熱を注ぎ、赤ちゃんとおんなじ部屋で寝るようになったのである。

日本が戦後から推奨してきた子育て方法がなんと米国には2000年代の今更になって、遅れて推奨されているのである。

日本人の自然の原理を重んじる精神は欧米も見習うべきだと思う。

アメリカの方が日本より遅れていたというこの現実!

私が抱っこひもを使って子育てをしているのを見た米国人旦那のお母さんからはこんな称賛の言葉が!

『私が子育てしているときに、この抱っこひもがあれば本当に便利だったのに。こんな便利なものがあるのなら私も本当に欲しかったなあ。』


うそ3. アメリカ人親の子供の叱り方は素晴らしい

外に出ると子供に冷静に諭すように注意をする米国人をよく見かける。怒鳴ったりする親はめったにみかけない。それは素晴らしいと思う。

ただそれには色々と事情もある。アメリカの法律は子供の虐待に対してとても厳しい。もし外で子供を怒鳴ってしまい、その一部をみた誰かが虐待を疑い警察に連絡した場合、逮捕される可能性もある。

そういったわけで米国人親は外での子供に対する態度に慎重になるのである。悪く言えばいいこちゃんぶってるのだ。

実際には住宅地などを散歩していると家から子供に対するひどい言葉遣いの(FワードSワード使用)罵声が聞こえることは度々ある。人間だから日本人だろうとアメリカ人だろうと頭に血が上ってしまうことはある。

米国の子供への虐待事件も日本と同様、耳を覆いたくなるようなひどいものが後をたたない。戦後あとぐらいまで、悪いことをしたらベルトで叩く体罰がアメリカでもスタンダードのしつけとしてあった。1990年代、米国人旦那が引っ越したアメリカの超ど田舎の学校では悪いことをしたら体罰を受けてもいいという紙にサインをさせられたそう。

用はアメリカ人の叱り方が素晴らしいのではなく、子育ての熟練度は人によるということだ。



個人的な意見としては、アメリカの子育てが素晴らしいのではなくて、女性への負担や期待が日本に比べると少ないということはあると思う。米国社会も男女平等については先進国の中ではひどいありさまだが、日本と比較すれば女性がかなりの収入を稼いだり、自分の意見を言える機会も多く、家事に関する住宅生活水準が高いということもある。

男性がサービス残業を強要されることはまれだし、子育てに参加できる時間の余裕がある男性も多い。子育てや家事を男女で協力してするものだと考える人たちも少しずつ増えてきている。

たとえ低所得のエリアでも住宅には巨大な食洗器と洋服乾燥機とオーブン、全部屋冷暖房設備がついているので、家事もだいぶ楽だ。


学校システムも親の負担がかなり少ない。PTAは任意でやりたい人だけが参加し、めったに学校に出向くこともない。出向いても親がイベントのかたずけをすることもない。子供はバスで通学し、ともかく楽だ。

そういう意味でお父さんにもお母さんにとっても社会的期待が少なくリラックスしている文化が、在米者によい印象を与えるのかもしれない。

日本のように年齢による上下関係を重んじる縦型制度もないので、子供でも大人から上から目線やないがしろにされることは少なく、一人の人間として平等にコミュニケーションをとれる機会が多い。


そういった文化がより平等に感じられたり、快適であることには共感できる。


実のところアメリカ、日本のどちらかが優れているわけではなく、どちらにもいい部分やよくない部分がある。完璧な国などは存在せずに、自分の生きる社会に存在する秩序や期待の中でみなそれぞれ頑張っているのである。

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